弥栄あめ『塞翁が馬じゃ!』ameiyasaka

人間万事 塞翁が馬(さいおうがうま)人の吉兆・禍福は変転する。一喜一憂している時間は勿体ない ♪

[üi]人に仕事を任せる方程式

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登山家の友達と杯を交わして


登山家や船乗りは社会生活でも山の哲学・海の哲学で動くモノが多いと酒を片手に友達と話した。


酔いもホロ良く回って、もはやぼくも船乗りの代表に勝手になり、これまた登山家の代表に勝手になっている友人と乾杯した。


海も山も生命の危険もあり、その時は辛い事の方が多い。どうも思い出して楽しむスポーツと云う部分では似ている所が多い様だ。

一歩も値切れない人生


セーリングボートでクルージングに一緒に出た登山家の友達がウォッチ(当直)の時間になって起きて来た。


朝焼けに海面が染まって来たがまだ寒い。受け取ったコーヒーをすすりながら肩をすぼめてシミジミと言った。


「寝とる間に随分と進んどるのぉ〜」


登山では、出発してから帰り着くまで一歩も値切れない。全て自分の足で歩く。と言った。山の哲学である。人生も同じだとずっと思っていたけど、こう云うのもありじゃね、と言ってニタリと笑った。


なるほど「一歩も値切れない」か!そう言われると船乗りは人のフンドシで相撲を取っている様な随分と楽をしてるのかも知れない。自分が寝てる間にも船は進んでいる

船の航海能力


全て自分の足で歩かないとイケナイ登山家から見ると船でのクルージングは自分以外の人の力でも進むと云う風に見えるんだなと新鮮な目で自分達の行動パターンを見る事が出来た。


余りにも当たり前で意識して居なかった事にも自分で驚いた。


皆んなの力の合計が船の能力なんだなと感心する友に、うん確かに合計なんだけどチョコっと計算方法は違うかも知れないよと説明すると大変驚いていた。

船の航続距離の計算方法


セーリングボートの場合、船の性能を熟知しキャプテンがその船を一人で操船して行ける範囲が航続距離の計算ベースになる。


そのベースになる数値から経験不足のクルー(乗組員)のマイナス要因の数値を差し引いた値がその船の航続距離を決め航海能力となる。


高性能の装備や経験豊かなクルーは、安全性を上げたりキャプテンの負担を軽減させる事が出来ても航続距離を伸ばす事は出来ない

ベクトルの太さは増やせても長さは増やせないと考える。


人類が400年を超える経験を積みながら大自然の中で安全に航海するためにあみだした航海術の考え方だ。

人に任せる方程式


登山では弱いものから死んで行くと言う。一歩も値切れない工程での哲学的なものの見方から来た戒めを多く聞いた。


極端な話だが登山と比べると海では熟練者から死んで行くと言う考え方がある。


荒天時には、一番操船技術の高い者がデッキに残り未経験者は一番にキャビン(船室)に入れられる。40ft級のセーリングボートは穴さえあかなければ5万トン級の船の安全性に匹敵するとも言われている。


沈没しなければ船内にいる者は助かる可能性が高いが、デッキにいる者は落水すれば助かる見込みは無いに等しいからだ。


キャプテン・ワーズ・イズ・ロウと云う船では船長の言葉が法律と云う考え方も航海術が生み出した人類の知恵の一つだ。

仕事を任せる心得


海上では、いくらお金があっても買う店は無い。あるもので代用して仕事を完遂しなくてはイケナイ。道具も作って対処する


無い物ネダリをしてもしょうがない。


人も降ろせないし新たに乗せる事も出来ない。そんな中でクルーに仕事を任せるのには心得がいる


人に仕事を任せる方程式がある。


100-X=自分の仕事


仕事が100として、任せる人の能力がXだ。
仕事を任せる人の能力が50なら、100-50=自分の仕事と考える。覚悟である


社会生活で人に仕事を任せられない人は、X=100 でないと不安で任せる事が出来無いと考えている。


反対に任せっきりで、部下が失敗すると「やっぱりあいつはダメだ」と部下の悪口を恥ずかしげもなく言っている人もいる。


両者ともに、100-X=自分の仕事と云う方程式の覚悟が出来ていない人達と言える。


命がかかって無いと錯覚しているのか?甘い考えで仕事ゴッコをしている人達が会社やコミュニテイーを危険にさらしている。


海の哲学や山の哲学を社会に投射しながらシミジミと美酒を飲んだ。