弥栄あめ『塞翁が馬じゃ!』ameiyasaka

人間万事 塞翁が馬(さいおうがうま)人の吉兆・禍福は変転する。一喜一憂している時間は勿体ない ♪

[üi]愛犬が亡くなった動物病院の前を通るのを知らずに避けていた

家から駅に歩く道での発見が増えていた


自分では気付かなかったが最近は通い慣れた道以外を選んで歩いていた。


車で走る時もそうだが、行きつけの動物病院の前を通るのを意識はしていなかったが避けていた様だ。

家の造作や植木の景色が新鮮


今朝、傘をさしてパラパラと云う傘にあたる雨音を聞きながら歩いていた。


珍し実のなった他所の庭木を眺めながら、ふと「あれ?通った事の無い道だ!」と気が付いた。

随分昔の様な気がする


先月、愛犬が亡くなった。二回目の癌の手術も終えて元気になって二ヶ月も経っていなかったが、また再発して抗がん剤治療を始めたばかりだった。


朝、浅い息を小刻みにするので念のために病院に連れて行く事にして娘と一緒に車で出かけた。


後ろのドアを開けると、自分で飛び乗った。元気になって良かったと微笑んだ。


一番で行ったので直ぐに済むだろうと思い、娘が病院に連れて入りぼくは車で待っていた。


えらく長くかかるなと少し心配になって来ていたところに、先ほどよぎった悪い予感が的中してしまった。

まさかこのまま帰れないなんて


娘が泣きながら出て来て「2分後に死んでもおかしく無い状態」なので連れて帰れないと云う。驚いて病院に飛んで入った。


それから3時間後に息を引き取った。


その間、なぜ急に?とか病院への不信感や若い女医さんの医療ミスでは無いかとか頭をグルグルと雑念が巡った。


しかし、づっと付きっ切りで先生と看護師さんが犬の名前を呼びながら懸命に呼吸器を付けたり注射を何本も打ったり、最後には挿管して励ましてくれているのを見ながら心の整理が付いてくると恨み言は薄れた。


原因はよく解らないが、おそらく癌の影響で肺に水が溜まり低酸素状態で脳の一部が損傷して気絶したと言われた。


昨夜、連れて来ていたらとか自責の念にもかられたが今朝、病院に連れて来ていなかったら留守中に死んでいたのかと思うと、臨終に付き添える事が出来た事に感謝した。


家族が嗚咽するのを見て、胸が張り裂けそうになった。10歳の誕生日を迎えたばかりだった。人間の歳に換算すると56歳ぐらいらしい。


花を一杯入れて送った。少々心配していたのだが、市の火葬場の方が尊厳を傷つけること無く取り扱って下さったのが救いだった。


まだ、一月にもならないのに随分と昔の事の様にも思える。残された犬達は元気だが面影を見るとまだ胸が痛む。懐かしさを感じるには時間がかかるのかも知れない。



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