[üi]山で迷ったら立ち止まる = 海上で迷ったらコースとスピードを維持する
登山家と船乗りの違い
迷った時の対処は、山と海とでは違う。
山で迷ったら先ず立ち止まれと云うのは説得力がある。落ち着いて考える事が出来るからだ。
海では、止まってはイケナイ。現在のコースとスピードを維持しながら落ち着いて考える。どうして止まってはイケナイのか?
それは、海は動いているからだ。
陸地なら、止まると地球上のある地点で止まる事が出来る。イタズラに動き回るよりも止まってから落ち着いて考える方が良い。
海上では陸地とは少し状況が違う。
海流があり風があり船を停止しても同じ位置に止まる事は出来ないからだ。
コースとスピードを維持すると云うのは、あるベクトル線が維持出来るだけだが、遡って計算したりするのにそのデータが必要となる。
登山家と船乗りの習性が社会生活の中でも現れる
イギリス人は歩きながら考える。フランス人は考えてから走り出す。スペイン人は走ってしまった後から考える。と云うマダリアーガ(Salvador de Madariaga)氏の言葉が流行った事がある。
民族特性を「考えると歩く」でデフォルメして面白い。マダリアーガ氏は思想家でもありスペインの国連代表もされていたので自国は少々自嘲気味になっている。
「ものの見方について」の本も当時流行った。
登山家と船乗りの習性も、迷った場合には「立ち止まって考える」と「歩きながら考える」と社会生活の中でも特性が出ることがあって面白い。
遊びの中でも登山とセーリングは似ている
登山もセーリングもカテゴリーとしてはスポーツに属しているが、他のスポーツとは異なる特性を持っている。
それは、スポーツの中に生活がある事だ。
眠る、食べる、炊事洗濯、トイレにも行くし風呂にも入る。日常生活のあらゆる事を切り離せないスポーツとも言える。
さらに自然の中なので天候などが途中で悪化しても中止する事が出来ない。当然の事ながら生命の危険も多くなる。
多くの登山家や船乗りが地上の社会生活でもその特性やものの見方、考え方が出て来るのは生活でリンクされている事が多いからかも知れない。
自然の中にいると色んな事を自然が教えてくれる
先輩達が人類が長年培ってきた技術を教えてくれ、心構えを教えてくれる。
自然がそれを思い知らせてくれる。
航海術は、ひ弱な人間が大洋を安全に航海出来る為に人類が生み出し進化させてきた技術であり哲学である。
ものの見方は、その人が歩んで来た環境に大きく影響をされる。
登山家の友達とそんな事を話しながら一杯飲んだ。楽しかった。
続く