[üi]淡い光を漏らす超高層マンションは、将にアーバンピクチャレスクだ。夜には険峻な山を見る時の様な荘厳で神秘的な畏敬の念すら感じさせる都会の風景になっていた。
広島の街は三角州で太田川から流れて来た土砂が推積した軟弱な地盤の為、高層ビルは建てられないと小学校の社会科で僕は習った。月日がたち技術が進歩して広島駅の前には今度54階建てのビルが建築される。
広島の超高層ビルは多くがマンションでオフィスビルの割合は少ない。同じ政令指定都市の仙台市が超高層ビルの約5割がオフィスビルなのに比べて広島市は約25%がオフィスビルで残りはマンションだ。
今度、広島駅前に建つ54階建もマンションになる。色んな分析が有るが広島に本社・支店をを置く多くの企業が規模が小さくとも自社ビルを有しているかビルを一棟丸ごと借りている所が多い為にオフィスビルの需要が少ないと云う見方はうなずける。
広島市に高層ビルは建てられないと習った数年後、フジタが1972年に竣工した明治安田生命広島ビルはそれまで地下2階までが限度と言われていたものを新技術で地下4階地上17階のビルを完成させた。
その後しばらく広島一高いビルの座を守った。なにはともあれ三角州にも関わらず超高層ビルが増えた。日本の建設技術のなせる技だ。
我家の南側、海の近くに30階を超えるマンションがある。昼間に観ると普通のマンションだ。北側は非常階段などのスペースが多く夜は生活臭のある窓明かりは殆ど見えない。僅かなオレンジ色の各階の階段の光がとても神秘的に見える。
モヤが少し掛かったりすると、何か険峻な山を見る時の様な荘厳なものを感じる事がある。将にアーバンピクチャレスクで畏敬の念さえ感じられる。そうした時に、人間の作った建造物なのに何故か神を想った。
煌々とした光が漏れるオフィスビルとは趣の違う超高層マンションも味わいがある眺めだと感じた。